お口のはなし -虫歯について- 食べ物編|北九州市八幡西区の歯医者
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ブログ 2016年11月22日
今回のテーマは「食べ物」についてです。
この話に入る前に虫歯のでき方について少しお話します。
歯の表面は、ハイドロキシアパタイトというカルシウムとリン酸の結晶によってできています。
この物質はすごく硬いですが酸に弱く、大人の歯(永久歯)でPH5.5程度、子供の歯(乳歯)では
PH6.3程度で溶けだしてしまいます。
この歯の表面(エナメル質)の溶けだす酸性度を「エナメル質臨界PH」といいます。
そして、カルシウムなどが歯の表面から溶けて抜け出すことを「脱灰」といいます。
逆にエナメル質臨界PHより酸性度が低くなる(アルカリに傾く)と、だ液の中にあるカルシウムや
リン酸が歯の表面に再度取り込まれて再結晶化していきます。
このカルシウムなどが歯の表面に再び取り込まれることを「再石灰化」といいます。
お口の中では絶えず 脱灰 と 再石灰化 を時計の振り子のように繰り返しています。
その振り子が脱灰の方に大きく振れてくることが多くなってしまうと「虫歯」になってしまうのです。
ここで日常の飲食物のPHがどのくらいか考えてみましょう。
いかにも酸性の強そうなレモンでPH2.1、オレンジ・みかんでPH3.6、醤油でもPHは4.7となっています。
飲料ではコーラでPH2.2、イオン飲料でPH3.5、オレンジジュースでPH4.0となっています。
ちなみに麦茶がPH6.5、牛乳でPH6.8となっています。
すなわち日常的な飲食物一部のものの酸性度でも歯は脱灰してしまうのです。
次に「虫歯菌」がどのような役割を働いてるか考えてみます。
虫歯菌は食物の中に含まれる「糖質」をエネルギー源としていますが、そのときに代謝物として「酸」を
産生します。そして、その酸性度は糖質の種類などで変わりますがPH4.5程度となっています。
糖質とは砂糖だけではなく、果糖やデンプンなどもその仲間のため、食事のたびに虫歯菌の作る酸により
「脱灰」がおきてしまうといえます。
そして食後しばらくたつと、だ液の作用によりお口のなかはアルカリに傾き、ほぼ中性となっていくので
歯の表面では「再石灰化」がおきます。
日に3度の食事のみならば簡単には虫歯にはならないという研究者の方がいらっしゃいますが、私も
その意見には賛成です。
虫歯予防として、当然「歯磨き」「フッ素」も有効とは思いますが、食物の種類、食物の与え方や時間など
ちょっとした工夫で虫歯の発生を減らせるのならばかなり有効な虫歯予防法と考えています。
次回も「食べ物」についての話で、もう少し細かく話させていただきたいと思います。
(わかりやすく解説するため、一部に学術的に不確定な部分がありますことをご了承ください。
また、研究者のなかでも意見の分かれる部分では私が正しいと考えたほうの意見を参考にしています。)
北九州市八幡西区 しみずファミリー歯科 清水敏博